遠くのできごと【日記】 | フーテンひぐらし

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永遠の放課後。文化祭前夜のテンションで生きたい。なかなか大人になれない。

7日8日は急性胃腸炎みたいな症状で、ずっと寝込んで断続的に「うー、うー」と唸ってた。「恋人たちの予感」のハリー(ビリー・クリスタル)みたいに。
寝るのに飽きても起き上がるとしんどいのでひたすらツイッタを眺める。そうすると能登の被災地に行った人を叩きながら現政権を細やかに擁護する声がたくさんあって、それを眺めてると怒りがわいてきて怒りのツイートばかりしてしまう。

よくないな、読書に切り替えようと思って本を探す。こういう時は頭を使えないので死ぬほど繰り返し読んだ本に限る。さらに体調が悪いのでパワフルな話や明るい話が読めない。いまの体調と併走してくれるようなトーンのがいいのだ。
結果的に「黒い家」を読み始めて、黒い家は傑作だから何度読んでも新鮮に怖くて、怖くて不快な気持ちと体調の不良さで何ともいえないどんよりした感じになり、我ながら何やってんだろうと思った。

9日(つまりついさっきまでの今日)、やっとすこし体調が戻った。がばりと起き上がって布団を干して着てたものを洗濯機に放り込み、2日間入ってなかった風呂に入る。久しぶりの温かい食事と温かい風呂で生き返った時、能登の避難所にいる人たちのことをふと思う。

さっき初めて石川逸子さんという人の「風」という詩を知った。前半はこんなだ。

遠くのできごとに
ひとはやさしい
(おれはそのことを知っている
吹いていった風)

近くのできごとに
人はだまりこむ
(おれはそのことを知っている
吹いていった風)

遠くのできごとに
人はうつくしく怒る
(おれはそのわけを知っている
吹いていった風)



ぐさりと来た。まるで自分のことだ。

 

 

今年もよろしくお願いします。