ずっと、旅するロックバンド | フーテンひぐらし

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永遠の放課後。文化祭前夜のテンションで生きたい。なかなか大人になれない。

FC限定発売の氣志團ロードムービーDVD「俺達の旅はハイウェイ」が届いたよ。2018年の「結成21周年御礼参りツアー「あいにいく I・NEED・YOU! おあいにく I・LOVE・YOU!」のドキュメンタリー。

 



彼らのGIG(ライブ)の円盤化というのはなかなかに難しくて、それは多分「演出上のパロディやオマージュが多すぎて、商品化する時に多方面の権利関係が難しい」から(笑)
KISSES(※氣志團ファンの通称)としては全GIGを映像化して欲しいけどそれはなかなか叶わない。というわけで久しぶりの映像作品というのがもう嬉しい。ツアー舞台裏のドキュメンタリーってのがさらに嬉しい。

一般販売DVDだともっと凝ったギミックや構成になることが多いのだけど、今回とてもシンプルな編集なので、何というか生身の彼らの、日常の手ざわりみたいなものがダイレクトに伝わってきてじーんとした。

ドームもアリーナも武道館もやったバンドだけど、バン1台に荷物を詰め込み文字通りハイウェイにのって、全国津々浦々の小さなライブハウスをまわった夏。一緒に観てた夫(何度もGIG参戦経験あり)が「今でもこんな小さいとこでやるんだ!?」と驚いてたけどそうなんだよ、採算とるならもっとスマートなやり方あるんだろうけど、御礼参りツアーだからみんなに会いにゆくためにこういうことするのが氣志團なんだよ。

 



すべての会場を抜かさず映像に入れてくれてたので、北海道から熊本まで、2ヶ月間25箇所の積み上げに圧倒された。うあースケジュール過酷だな…どこかで体調不良になったらおしまいじゃん暑いのに…体力がよくもったなすごいな…って。


夏の空気感、ライブハウスの狭い楽屋とステージ、おしくらまんじゅう状態でステージに手を差し伸べる観客、ぜんぶに「暑い(熱い)!!!!」となって、合間合間に差し込まれるその地方のすこーんと抜けのいい青空、地平線、山並みに「涼しげ…」となる繰り返しが好き。

翔やんが「俺ほんとはこうやってみんなで全国のライブハウスまわる旅だけして暮らしたいんだ」って言ってたことあったけど、その思いと愛情がむちゃくちゃ伝わってくる映像がぎゅうぎゅうに詰まってた。

ここからの述懐羅列はネタバレが含まれますので未見の方ご注意を…)

バンの後ろに重たげに積まれてゆくスーツケース、会場に至る狭い階段、入り待ち出待ちのKISSESに毎回フレンドリーに丁寧に応える姿、街中にフラリと現れてKISSESを驚かすのを生きがいにする神出鬼没な光ちゃん、翔やんの無茶ぶりに顔色ひとつ変えずに応える松、アルカイックスマイルでメンバーを見守る亜樹良、毎回終演後の物販にメンバー自ら立つ律儀さ、「どんなに過酷なスケジュールでも必ずその土地の観光をする」という初期ルールをいまだに守り続けてる姿、各地のうまいもんを嬉しそうに食べてる様子、20年以上一緒にいるのによくもまあそんなにわちゃわちゃできるねと感心する仲の良さ、ランマの話し言葉の優しげなさま、熱中症寸前で酸素吸入器とお水が命綱になる翔やん、そんな翔やんをみてサラリと「じゃあ先に出て何か演っとくね」と言うトミー、細やかなケアをこなすマネージャーとローディーの皆さん、そしてその土地土地のKISSESのこの上なく上気した顔とキラキラした目。

ああ、すべてが青春だ。ロードムービーの傑作の誕生だ。「終わらない放課後」のテーマに偽りなしだよ。少年性と、確実にコツコツと年月とアクションを重ねてきたひとたちの「熟し」の両方を感じるよ。めちゃくちゃ癒されるし血が沸くし焦るよ。


ずっと見続けてきたというのもあるけど、氣志團にはいつも圧倒的な「やれるだけのことやった蓄積」を感じてクラクラする。同時に「俺たちはこの1年こういうことをやってきたよ。で、お前は?」と言われてるような気がしてウウウ…とうずくまりたくなる。

スマートなやり方じゃないしビジネスとしては得じゃないかもしれないけど、いつもあらゆる工夫とアイデアでアウトプットを増やしてゆく。世間に賛同を得られないどころか批判が多くなる場合でも、勇気をもって「やらない」より「やる」方を選ぶ。ファンが喜ぶ顔を見るためならミュージシャンとしてのかっこつけとかあっさり捨てて(誇張じゃなく)何でもやる。すべてにおいていい意味での手作り感がすごい。「大豆田とわ子」の慎森なら即「それって意味ある?」と言いそうなことばかり集めてしまうけどそれ全部宝物にしてくれる。
 

彼らのそういうところは何年経ってもまったく変わらないし熱量が低下もしない。

だから私は氣志團が心底大好きだし、これから何があってもその好きが消えたり減ったりすることはないし、ワーとかキャーとか通り越して「どうかどうかこの先も彼らがずっと健康でありますように」って痛いくらい祈ってる。例えときどきEXILEに浮気しようとも(笑)


なんかDVDの感想書いてるうちにどデカ感情の吐露になっちゃったすいません。


誰もマスクしてないし汗だくで密着して盛り上がってる2018年のライブ映像をコロナ禍のいま観ると郷愁と憧憬で胸がキューッとなるけど、いつかまたこれと同じ風景の中に戻ることができますように。氣志團はもちろんのこと、すべてのアーティストとその観客が、そうなりますように。祈るだけじゃなく、その実現のためにできることをしたいなと思っています。

大変な中、素敵な作品を届けてくれてありがとう氣志團。



※ティザー映像置いときますね