レアな落語会。 | フーテンひぐらし

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さて先週の落語に引き続き今週も落語。ジムや学校以外のお出かけなどほとんどなかったのでたいへんに珍しい。
この日は桂宮治さん推しの友人に誘われたなかのZEROホールでの落語会。メンツは春風亭一之輔、桂宮治、柳亭市馬、寒空はだか、柳家喬太郎。豪華や。この日はトータルでいうと色々とレア回だったなと思う。

まず何がレアって、開場前に一之輔さんのこのツイートだ。

 



え?(当代一の人気噺家でありいま一番チケットが取れないと言われている)一之輔さんがトップバッターなの??前座さんいないの?ていうかそもそもそのタイムスケジュール間に合わなくないですか…?

着いてみたら開演5分前からほんとに前座さんではなく一之輔さんが高座に上がって噺を始めた。ギリギリに来たお客さんはたまげたと思う。
(落語会では最初の「開口一番」は前座や二ツ目が上がってまず場をあたためる)
19:15に終えないと次の浅草に間に合わないと言いながら19:20まで演り、高座降りたら駆け足で舞台上からはけてったのには場内大爆笑。舞台上を走ってはける噺家さん初めてみたよ(笑)

そのあとは、桂宮治さんのキレッキレハイテンション芸と客いじりすごく楽しかった。寄席で鍛えられた人なんだなーという感じ。市馬さんの「青菜」は季節感と飲み食いの表現が名人芸。氷をほおばる仕草なんてこちらの口の中に冷たさが伝わってきたもん。スタンダップコメディの寒空はだかさんの芸は「ああシニアの方々が安心してウケる芸だなー」と思った。
そして何より喬太郎さんの「ウルトラ仲蔵」が徹頭徹尾狂ってて最高だった(褒めてる)。

 



名作「中村仲蔵」(落語の大ネタ)を、登場人物すべてウルトラマン(と怪獣)に置き換えてやるという狂気。地球でのレギュラー防衛を夢見るウルトラ仲蔵の芸(芸…?)への道を情感たっぷりに、マニアならではのウルトラネタ満載で演じる噺。「中村仲蔵」を知っていれば元ネタからの改変に爆笑だし、ウルトラマン好きの方はそのディテイルに爆笑だし、どちらも知らなくてもしっかり笑えるのが喬太郎さんのすごいところ。

元ネタである「中村仲蔵」は本当にわくわくゾクゾクするいい噺で私も大好きだけど、めったにお目にかかれない大ネタ。
ちょっと検索してみたらあの神田伯山さんが講談として演ってる素晴らしい動画見つけた。40分以上あるけど物語として全く飽きずに観れるので、お時間あるときぜひ観てみて下さい。

血筋がものを言う歌舞伎の世界で、その血筋を持たずに下から叩き上げ出世した仲蔵が割り当てられたある「つまらない役」。さて彼はその役をどう自分のものにしてゆくのか。これは落語版「ガラスの仮面」なのであります。

 

 

本当に今さらだけど、既にさんざっぱら使われたもの(はなし)をどうアレンジして色をつけて、己がどう表現してゆくかだけで、ここまでさまざまに変わるというのが古典芸能の楽しさだよね。

仕事もたぶんそうで、「こういう条件で、これは必須で、ここまでしかできない」という縛りの中でいかに定型を裏切るかだよなと、落語を聴いてるといつも思う。中村仲蔵なんて噺の内容自体がそういうことだもんね。特にクリエイターは聴くべき。