本を読むひと、そして書くひと | フーテンひぐらし

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永遠の放課後。文化祭前夜のテンションで生きたい。なかなか大人になれない。


更新があまりに久しぶり過ぎるけど「ごぶさたしていてすみません」という挨拶ばかりなのも毎回かっこわるいし誰も待ってないかもしれないのでしれっと始める。


紀伊国屋書店で目が合ってしまった。このクマと。
阿久津隆「読書の日記」。タイトルと表紙の可愛さで手にとってみたらずしりと手が下がり、思わず「えっ」と声が出る。分厚い。辞書みたいに分厚い。

 



スタートはアンネ・フランクだった。大人になってからは、安野モヨコやおおたうにのような「今の女子の日常」ものから武田百合子「富士日記」まで、とにかくひとの日記を読むのが好きである。
(ちなみに武田百合子は数年前に初めて知り、「私だけが知ってるマイナーだけど最高な作家だフフフ…」と思っていたら当たり前だけどむちゃくちゃ有名だと知ってしょんぼりした。でもやっぱりものすごく好き)

ドラマチックである必要はなく、できるだけ細かく、偏執的なまでにその人の日々の生活が綴られた日記やエッセイを延々と読み続けたい人間なので、この重さ分厚さは大歓迎。パラパラと立ち読みして、文章が性に合いそうなので買って帰った。
帰ってはかったみたら、IQOSの横幅と同じ厚みでした。

 

アシスタントは、ウィニーザプー

少し読んでみたけどもうその文体がとても好きになってしまった。全く存じ上げなかったが、この方は初台で「fuzukue」という「本の読める店」を営んでいるそうだ。そのfuzukueもHPを見てみたらとてもよさげなので、いつか行きたい。何ならこの本をたずさえていきたい。いやそれは恥ずかしいかな。



最初の方のページにしおり紐をはさむと、こういうことになる。必死感があってなんかかわいい。
(いま調べたんですがこれのことをスピンっていうんですね…初めて知りました)


そして「読書の日記」を手に取った後、すぐ横に平積みされていたこちらも気になってしまった。帯を読んで気づく。「那覇の市場で古本屋 ひょっこり始めた〈ウララ〉の日々」のひとだ。

 



宇田智子「市場のことば、本の声」
古本屋を営みながら目にし、耳にする日々のできごと。
ぽつぽつと語られる市場の日常に、今すぐあの場所へ飛んで行きたくなる。牧志公設市場とその周辺は、私が沖縄で最も好きな場所。あそこに自分の拠点があるなんて、なんていいんだろう。
 

 


カバーを取ってもきれいだな

この本の「傘」という章の、沖縄の大雨で傘を買いにゆくくだりを読んでいたらちょうど雨が降り出した。この符合は微妙におもしろい。沖縄のスコール。東京のゲリラ豪雨。いまや夏の気温は沖縄のほうがずっと低い。避暑に行きたいくらいだ。

 

 

本が読める店の店主と、古本屋の店主。ゆえに「読書の日記」にも「市場のことば、本の声」にも、その時々で彼らが読んでいる本が登場する。たまたま手に取った二冊にこういう共通点があるなんて買った時点では気がつかなかった。わくわくする。

雑誌の特集などで有名人などが紹介する本にはあまり食指がそそられないが、街角の知らない人がこうして自分のことばの中で触れる(不特定多数に紹介しようとはあまりしていない)本は、わりと気になる。

文中に出てきた気になる本は、スマホで検索してEvernoteにクリップ。
文章の好き嫌いは本当に人によりけりなので、よさげなものがすべて自分にハマるとは限らないが、いい出会いがあるといい。



阿久津さんと宇田さんの日々、もちろん大変なこともいっぱいあるだろうし実際その大変さは本の中にも書かれてはいるけれど、本が好きなひとがそ素敵な居場所を見つけた(いや、作り上げた)ことに、嫉妬に近い羨望を感じた。

 

 

 

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