(タイトルは、原作の扉にあったことばから取りました)
「とにかく観て」という言い方は好きじゃない。
映画の好みは千差万別だから、おすすめの言葉として乱暴すぎる。でも今はあえて言いたい。「とにかく観た方がいいよ」と。
先日やっと観にゆけた「この世界の片隅に」。
立川シネマシティが極上爆音上映ではなく「極上音響上映」をやると宣言、その理由とどうしても観てほしい旨をメルマガで綴っていて、その言葉がとてもよかったので気になっていた。クラウドファンディング、みんなの出資と応援で出来た映画だ。
戦時下の広島・呉の話だけど、ドラマティカルに悲壮感をもっては描かれない。穏やかに微笑ましく営まれる暮らし。かなしみは疾風のように来て去る。あまりに静かなのに感受性がガンガン揺さぶられる。
小さな、美しい音が活きていたように思う
今年は邦画の当たり年。シン・ゴジラ(5回観た)もハイロー(2回観てそしてEXILE THE SECONDにハマッた)も面白かったけど、最後の最後にぶっちぎりのすごいの観てしまった。
この映画の単純な感想を書くのは難しい。
何度も声を上げて笑う箇所があった。のん(能年玲奈)の声がすごくよかった。映像がとても美しかった。音楽はもうずるいくらいだ。出てくる人があまりに愛おしく、観ているうちに猛烈に切なくなる。
人によるけど、私は嗚咽を堪えるのが辛いレベルでハンカチの吸水性が限界超えた。
かといって「泣けるからいい」とは言いたくない。泣かせるようには、つくっていないから。人によっては別に泣かないだろう。つまり、そんなのはどっちでもいい。
いまでも思い出すだけで胸が締めつけられて、同時にあたたかくなる。そういう映画だと思う。
今日、原作のマンガも買いました。
同じこうの史代さんの「夕凪の街 桜の国」(こちらも広島もの)も、とてもよかった。
(冒頭にこんなこと書いたけど、わたし「シン・ゴジラ」の時に「とにかく早く観に行け」ってブログ書いてるね…!)