落語と猛者 | フーテンひぐらし

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永遠の放課後。文化祭前夜のテンションで生きたい。なかなか大人になれない。


昨日は久しぶりの落語へ。
メンバーはハズレのないこの人気のお三方。

 


実はこの日はこれまで一度も落語を聴きに行ったことがなく「笑点くらいしか知らない」という友人の落語デビューの日だった。

 

「落語聴きに行ってみたい!ぜひ連れて行ってくれ」と言われることはよくあるのだが、「何でデビューしてもらうか」はなかなかに考えどころである。未経験者の方々はよく「寄席に行ってみたい!」と言う。その気持ちもすごく分かるのだけど、落語デビューがいきなり寄席というのは実はハードルが高いと思っている。
寄席は一日中、芸人さんたちが入れ替わり立ち替わりネタを披露しているので気が向いた時にフラリと行けてよさそうなのだが、それだと「演者を選べない」というデメリットが生じる。

 

その時たまたま聴けた噺家さんが好みに合えばいいんだけど、そうでなかった場合、「なんだ落語ってあんまり面白くないな…」という印象を持ってしまうかもしれない。落語好きとしてはそれはあまりに残念だ。噺家さんの好みは人によって本当に千差万別だし、その時かけたネタによっても印象は全然変わってしまう。だからそのバクチを打つよりまずは「ハズレの少ない、いま人気の噺家さん」を初体験の相手に選んであげたい、と思うんだ。
通好みのマニアックな人でもなく、ラディカルな若手でもなく、大御所でもなく、中堅くらいの、初心者にも分かりやすく渋すぎない、幅広い人気を博している実力者をね。

 

そうすると、演者を選んで行けるし会場の雰囲気も客層も濃すぎない「ホール落語」がデビューにはいちばんおすすめなのであります。
(まあ私はこんなこといっちょまえに書いてるけどホール落語行き過ぎてて実は寄席まだ未体験ですスイマセン…!)

 

 

というわけで、三遊亭兼好、桃月庵白酒、柳家三三とそれぞれタイプの違う人気者が集う渋谷のこの会に、友人を連れて行った。

 

予想外で結果ラッキーだったのは、開口一番がカチコチでまだまだこれからの前座さんではなく、二ツ目になったばかりの三遊亭わん丈さんだったこと。ジャパネットの高田社長の物まねなど現代ネタを豊富に入れ込んだオリジナルな「ガマの油」は大爆笑で、初心者の友人ものっけから思い切り楽しめた。

 

三三さんはちょっと珍しい傾向のネタだなと個人的に。いつもの方が面白いかな。
白酒さんの「青菜」はまさかの「嫁の方がノリノリでやるバージョン」。大爆笑。
兼好さんは「しょうもない妄想をして浮かれるバカ男子」をやらせると最高に可愛い。そして圧倒的に「アクションがキレイな人」なのでほんと好き。彼の手さばきや身ごなしは流れるように美しくて、そしてとてつもなく色っぽいのであるよ!今回は都々逸で粋な歌声も披露してくれて嬉しい。

 

終演後、無事デビューを果たした友人は「すんごく、すんごく面白かった!!」ととても喜んでくれたのでホッとした。もともと綾小路(翔)さんの熱烈なファンなので「頭の回転が早く話術に長けている人」が好きだから、落語とは親和性が高いような気がしていたんだけどその通りだった。「前に出た人のネタを次の人がとっさに取り入れてイジるとか、すごい!」と感激していた。いやほんとそうだよね。

 

 

一軒目の飲み屋で落語や氣志團の話で盛り上がっていったんお開きになり、もう1人の友人と二軒目に行った。そしたら後から隣の席にもうかなり出来上がってる感じの男性2人が座り、そのうちの1人がこちらに話しかけてきたのである。

 

飲み屋において、隣席から延々話しかけてくる酔っ払いはとてもわずらわしい。
「俺は格闘技をやってる。誰それを倒せるんだ」なんていう自慢と実演までつけばなおさらである。
しかし彼はスカパラ谷中さんというかショーンKというか、あの系統の濃くて外人ぽい、激烈な二枚目であった。するとあら不思議、わたくしはがっつり話し込んでしまうのであった。

 

「顔面差別してる…」
我ながらそう反省した。

 

 

それにしてもその自称猛者の兄さんが私を見ての第一声が「なんか…強そうだね!」っていうのはどういうことか。

 

 

(後々で「キレイだよね」とかも言ってくれたのだが、もうずいぶん御酒を聞こし召してからの発言だから目も頭も鮮明でない可能性)

 


ソルジャーとしての自信をさらにつけた夜だった。