怒れ泣け嫉め止めるな | フーテンひぐらし

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永遠の放課後。文化祭前夜のテンションで生きたい。なかなか大人になれない。


「怒る」ことは、一体ぜんたい、そんなに悪いことなのだろうか?

 


「保育園落ちた日本死ね」の記事に端を発し、「気持ち理解できる」という人たちと「なんだその言い草は」という人たちがネット上にいろんな意見を置いている。

 

その中で「そんな言葉を使わないで、もっと穏やかに笑顔でできることがあるのでは?」「そんなママの言葉を聞いたら子供はかなしむ」という論調の記事もあった。
それは穏やかな口調で書かれているので一見すると「死ね」よりずっと理知的に見えるし「そうさ、怒りじゃない手段でやろうよ」と同調するひともいる。

だけどこりゃとんだ後出しだなあ…と私は思った。

 


「前向き」「笑顔」ということばは確かに文句のつけようがない。

 

だけど、そんな段階を通り越し、足もと泥だらけで「つらい」と言ってる人に、キレイな靴のままイイことを言うって、ずるいと思うんだ。

 

「最初から~すべきだったのでは?」
「自分が好きで選んだ結果だから仕方ないよね」
「愚痴や文句じゃ何も解決しないよ」
「怒るより穏やかに笑っていた方がいいことあるよ♪」

 

誰かが怒ったり泣いたり愚痴ったりしてる時のこういう言葉、場合によっては有効だ。
(例えば仕事において。感情的になって「なぜどうして」を繰り返すより対策を取るほうがいい)

 

だけどほとんどの場合は、その人のモヤモヤやつらさをそれ以上吐き出させず、無理に封じ込める「優しい暴力」になり得るとわたしは思う。

ひとは、素敵なポジティブやスマイルで誰かをぶん殴ったり崖から突き落とすことができるんだよ。


そしてね、そのアドバイスを受け入れて、弱ったときに無理に笑ったり、自分の中にだけ原因探したり、無理やり人に感謝したりするの、うまく作用する時もあるけど、基本的には自分の価値をすんごく下げて感情を真逆に押し曲げてしまう、と過去の自分の経験から思うんだよ。

 

弱ってる時は気づかない。だけど元気になってから気づく。おいおいなんで嫌なことを嫌と言えずに、原因となった相手に感謝せなアカンかった?と。
そうすると、そのことに対して後々まで禍根が残る。そんなことならいい子ぶらずに首が回るまでぶん殴って「私は怒っている」と言えばよかったんだ。

 

私も以前は「言霊教」だったし「前向き第一」「悩むよりまず対策」派だった。というか、自分はできてないんだけど他人にそれを説いて得意になっていた。あの頃の自分を殴りたい。

今はそれでは解決できないことやしたくてもそれができない人がいる、とひしひし感じている。


負の感情は吐き出せばいい。
前向きじゃなくていい時だってある。

そして、理不尽だと感じたら堂々と怒ればいい。

 

自分自身が負の感情を出さずに頑張れて成果が出た、幸せになったという体験は大切にすればいい。だけど誰かのそれを封じ込めちゃ、ダメだ。

 

他人から聞かされる愚痴や悪口や妬み嫉みっていうのは、むちゃくちゃぐったりするし嫌な気分が伝染したりするから、しじゅう食らいたくはないが、思わず聞かされてしまった時は「この人はいま吐き出したい時間なんだろう、それが必要なんだ」となるべく思うようには、なった。

そして逆にいつもポジティブな人にほんのりと不信感を持つようになり「アンタの裏はどこにある、隠さずに見せろ」と言うようになってしまった(笑)


負の感情を持つこと、他人のそれを聞くことにひとついいことがあるとすれば「ものすごいエネルギーになる」ってことだと思う。
なにくそと立ち上がる原動力になったり、キレイになるぞ!ってパワーになったりする。または、ものをつくったりアイデアをかたちにしたりするときのネタやきっかけやヒントをくれる。

人のうんこから野菜が育つように(笑)ダークサイドのエネルギーは、まったく新しい花を咲かせて誰かを楽しませたり癒したりすることだってできるんだ


だからみんな、抑えられない時は怒れ、嫉め、泣け、対決しろ。

 


特に女のひと。
無理して笑わなくていいからな。怒りたいときにちゃんと怒れよ。
周りは鬼の首取ったみたいに「うわー怖い」「○○に嫉妬してるんじゃないの」「それじゃモテないよ」とか言うけど気にするな。不当な扱いを受けたらちゃんと怒りなよ。舐められて可愛がられるよりそっちの方がいいよ。

モテと愛されのために生きてるわけじゃないからな。
女だけは、母だけは「いつもニコニコ柔らかくあるべし」なんて、くっだらないからな。

 

 

そりゃあ誰だって怒りたくないし、できれば笑っていたいさ。ほんとだよ。

 

でもそれじゃあ舐められたり、てんで聞いてもらえなかったり、まったく解決しなかったりするから、しまいに怒ってるんじゃないか。笑ってる時はスルーしてるくせに、怒ったら「なぜ怒る」って、言うな。

 

 

「マッドマックスFR」のフュリオサのように、「ドラゴンタトゥーの女」のリスベットのように、「ターミネーターⅡ」のサラ・コナーのように、「エイリアンⅡ」のリプリーのように、きちんと怒れ、闘え、そして最後は仁王立ちで生き残って笑え、女たち。