「テレクラキャノンボール2013」という衝撃波 | フーテンひぐらし

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永遠の放課後。文化祭前夜のテンションで生きたい。なかなか大人になれない。


AVには抵抗がない人間だが、
「キレイな女の人がいやらしいことをするからいい」
というまだまだ底の浅い鑑賞眼しかないので
いわゆる「素人企画モノ」に興味がない。


だからタイトルを見ても何の食指も動かなかったんだけど、
私がTwitterでフォローしている大好きな人たちが男女問わず
なぜかこぞってこの映画を劇場で観たあと、
「すんごい面白い」「絶対行くべき」と絶賛していた。


それでとても気になった。



さらにカルチャー方面で気が合う女友達が観てきたらしく、
飲み会のときにチラシを持参して「とにかく面白いし、
観る前と観た後とでは何かがガラリと変わるからぜひ行け」
と。



色々調べてみると、渋谷のアート系の映画館での単館上映なこと、
本来ならば1週間だけの上映のはずがあまりの口コミ評判で
満員御礼・札止めが連続し、追加上映が決まったこと、
内容はAVでありながらドキュメンタリーでありロードムービーの
色あいが濃いことなどが分かった。



そしたらみんみんちゃんが「私も行こうと思ってた」と言うので
レディースデーの昨日、行ってみたのである。




キャノンボール


★劇場版 テレクラキャノンボール2013 @渋谷オーディトリウム



座席数136のちいさなハコ。
整理券が事前配布されたのだが、それを
みんみんちゃんが早めに取っておいてくれなかったら
座れなかったかもしれないほどの満員ぶり。
レディースデーだからか、観客の3~4割が女性だ。



この映画のあらすじ、登場人物、予告ムービーなどは
下記、オーディトリウムのサイトに詳しく載っている。


★劇場版 テレクラキャノンボール2013詳細




まあここで概要を知っても予告ムービーを観ても、
大抵の人は「くだらね…」ぐらいにしか思わないだろう。特に女性は(笑)
私も観た人の絶賛がこんなに相次がなければ、
ぜったい行ってないと思う。


じゃあそのくだらなそうな、野郎が考え出したしょうもない
企画モノをなぜ皆がそんなに「よかった」というのか。
それが知りたくて、観た。



満員の場内は、クスクスから始まって次第にザワザワ、
ひええー、ゲラゲラ、そして最終的には手を叩いてみんな大爆笑。
映画館でこの一体感、すごい。



観終わって思った。


凄いもん観た。
エラいもん観ちゃった。
これはヤバい。観てよかった。


友達いうところの
「観る人生と観ない人生なら、観る人生を選んでよかった」、
まさにそんな感じであった。


ええと、感動するとか、ぐっとくるとか、
キュンとするとか、元気出たとか
そういう分かりやすいアレじゃない。
男たちと女たちの生きざま(だが良識ある社会的にはほぼ無意味な)
ものすごく心揺さぶられた。



私からのストーリー紹介とか、
見どころとか少し書こうと思ったのだけど、
こればっかりは書けば書くほどただの下ネタになり、
かえって観てないひとの興を削ぐ恐れがあり(笑)


しかも少しでも深く書くとすごいところを
ネタバレするから、ほぼ何も書けない。



というわけで、感じたことだけを書く。



ああもう少しダイエットしないと私ヤバいわとか
俺ももっとモテたい、いい女を手に入れたいとか
どうしたら結婚できるのかなとか恋がしたいなとか
女子力を磨かないと愛されないんじゃないかなとか
男子たるものこうでなくちゃやべえよなとか
何で自分はぶさいくなのかなとか

仕事がつまんないとか上司嫌いとか部下があほとか
好きなひとに嫌われたんじゃないかなとか
妻として母としてもっと頑張らなくちゃとか



そういうあらゆることを考えて疲弊したり
こじれちゃったりしてるひとは、とにかく観とけ。



それらすべてが北国の夏空の下、
豪快にドブに投げ捨てられていく爽快感。


「くだらないことを全力で」なんてレベルじゃない、
「人生棒に振るならフルスイングで」 (と、twitterでどなたかが呟いてた)。


人間なんだってできるんだ。
超えられないラインなんて
実は予想以上に低いのかもしれない。



そして、この映画に出てくる彼らにあって、
もっと身ぎれいに生きている(のに悩んでいる)我々に無いものは、
ナイスバディでも女子力でもモテやセックステクニックでも何でもなく、


「生き物」としての底力だ。


男とか女とかじゃなく、ただの生き物。
そこでの最終的な生命力の強さ。


捨て身のなり方というか、捨て方というか。


それを、見習いたいような
間違っても見習いたくないような、
でもそれが自分のなかにも
ちゃんとあるんだと思って生きていたいような
そんな気持ち。



不思議なことにセックスなんてみんなやってるのに、
みんなもっとサラリと素敵にやってるかまたはそんなこと
一切やってませんよ的に振る舞う不自然な日常で、
「でもこんくらい不格好なもんでしょホントはさ」って
当たり前を見せてくれたような照れくささもあり。



えげつないほどの本能。
そしてしょうもなくも愛おしい男気。



とてもいいドキュメンタリーだったと思う。


カンパニー松尾監督というのは、

ものすごい人なのであるな。



渋谷での上映は25日までなので、興味のある人はお早めに。
(5月には大阪で上映するそうですよ)




そうそう
とはいえ「爽やかなイイ話」とかじゃないから
そもそもAVとか野郎的カルチャーに免疫ない女性は、気を付けてね


それと
「どんくらいエロいかな、観終わったらムラムラしたりするかな♪」
よこしまなドキドキを期待してる(?)人がいるとしたら


それ無いから



逆に
帰り道、目の前に広がるホテル街を
妙齢のカップルでそぞろ歩いたとしても
「……」て無言になるほどお腹いっぱいだから


でも
そのあと飛び込んだ居酒屋で
映画についての話を連れとするだけで
ぐいぐい酒がすすみ、どんどん時が経って
ものすごく楽しいことだけは保証するよ



ちなみに私とみんみんちゃんは店のセレクトに困った。
話す内容に必然的にヤバい単語が混じるので、
カップルや女性たちが語らうおしゃれ店のカウンター席とか
絶対アカンから…。


できればおっさんがうるさく喋ってるような店か、
他のお客さんと少し距離感のあるテーブル席などがおすすめです(笑)




かき


生牡蠣の土佐酢ジュレがけ

うまい



★NAVERまとめ↓
「劇場版テレクラキャノンボール2013」がすごいことになっている。