君たちの歌は、私の歌になる | フーテンひぐらし

フーテンひぐらし

永遠の放課後。文化祭前夜のテンションで生きたい。なかなか大人になれない。



Twitterで知り合い氣志團GIGで初対面、
落語だ何だと共通の趣味多く意気投合して
すっかり魂の友(なんかジャイアン的な言い方)
なったケンタ(仮)が、ライブイベントをやるという。


去年もやっていたのだがわたくし
実弟の結婚式だったため参戦できず、
ならば今年は!と参戦を決めた



決めたのだが



タイトルは「air AIRJAM」。


ってことで、仕事も人生もクソ忙しい30代が一夜限り、
ステージで金ピカに輝く、AIR JAMコピーバンドの祭典
「air AIR JAM(エアーエアジャム)」
簡単に言ってしまえは「オトナの文化祭」(FBページより)



コピーされる元ネタバンドは


アジカン
10-FEET
ミッシェルガンエレファント
X-JAPAN
ブラフマン
ハイスタ……



すいません私ひとつも
通って来てません


しいて言えばXくらいしか曲を知らない


というわけであわてて同行者を探す
(音楽全般にハマることのないマーはこの段階から落選)


先日の氣志團万博で無類のフェス好き音楽好きを
見せつけた同僚ハギーに最初に声をかけたが
残念ながら予定があり
ならばとケンタ(仮)と同世代であるデザイナーRayと
バイヤーオガをどうにかキャッチしてひと安心


親切すぎるハギーが
NAVERまとめで「air AIR JAM予習帳」 という
すごいものをつくってくれたので感涙して予習するものの


「日本人なのに歌詞が英語だ…」
という感想でストップしたまま当日に(笑)



@由緒正しい老舗ライブハウス・渋谷エッグマン。



広野ゆうなのフーテンひぐらし-かんばん


このまぎらわしいバンド名のせいで、
道行く若者たちが次々と「(゚o゚;;!??」という顔で
この看板に寄ってきては


「アジアン…カンチョー!?」
「10…じゃない1000だよ!」
「ハイ&スタンダードてww」


と笑いながらパシャパシャ写メ撮ってたよ(笑)



後半からの参戦だったんだけど
ひとり先についた私



音楽オンチなれど氣志團のせいで
ライブハウス自体はもう怖くない
(千葉LOOKとか沖縄のダンスクラブ松下とか
恵比寿リキッドルームとかで
死にそうになったおかげです 笑)


怖くないが
いま演ってるバンドの元ネタ(ミッシェル)がもう分からない!

そして知ってる人もフロアに皆無!
会場は盛り上がっているのだが
すごいアウェー感である


好きなバンドなら、友達ひとりもいなくても
もう空間自体が「同好の士」だから暖かいんだが
これは私のような「ひとり上手じつはさみしん坊」には
なかなかいたたまれない。



だもんでビール飲みながら壁に張り付いてたんだけど
Xのコピーバンドが始まったあたりで
「なんかこれ違う」と思った


違うと思ったのはバンドでもなく
イベントにでもなく
自分にである。


確かに出てる人も観てる人もまったく知らないのだが
だからってせっかくお金払って来たこの珍しい空間で
楽しそうに盛り上がってる人と線引いてここに突っ立ってるって
なんの得があるのか…?何クールぶってんの俺?


別にひとりきりでノッたって誰も
「あいつ友達いねーのにノッてるよ」なんて言わないし!
同じアホなら踊らにゃソンソン孫正義。


というわけでフロアの前のほう(ただし端っこ)に移動し、
せっかく唯一知ってるXの曲でXジャンプびょんびょんしてみた(笑)


そうこうしてるうちにRayが到着してホッ


次のバンドの元ネタバンド
「Me First And The Gimme Gimmes」は外人で
もう絶望的に知らないわけだが


コピーバンドの皆さんは
ジブリの名曲(もちろん日本語で)を
すべてパンクアレンジで!

わーこれは知ってるよ!


ノリノリで聴いてたのだが
ついに「トトロ」のテーマで耐え切れなくなり
「あたし前いっつくらあ!」とRayに言い残して前列へ

ジブリとパンクって合うんですね、知らなかった…。
みんなで「となりのトトロ トトロー!」と縦ノリで大乱舞(笑)
知ってる歌って、音楽性を超えて強い…。


やばい楽しいヘ(゚∀゚*)ノ



やっとオガも到着して、つぎはブラフマンならぬ
ブリーフマン(笑)


おお、曼荼羅みたいな映像が出て観客が祈りを捧げてる!
噂に聞くブラフマンライブと一緒だー。
ボーカルのTOSHI-LOWが初期の頃結構わたし好みだったことしか
このバンドの知識はない!(そしてそれがりょうの旦那という知識しか!)


Rayもオガもこのあたりが大好きな世代なので
楽しそうに聴いている。


そもそも私はバンドの演奏が上手いのか下手なのかも
よく分からないレベルなのだが、この人たちが上手いな、
というのは分かった。そして迫力があるのも分かった。


おお、モッシュやダイブが始まった!
ボーカルが観客に担がれている!


「本物は、ああして二曲くらい歌うんだよ」


「ボーカルの彼、MCの喋り方もかなり意識して
 同じにしてる、うまいね(笑)」


などなど、彼らから逐一解説してもらいつつ観る



ここに出ている人たちはみな30代で、
普段はサラリーマン始め、普通の勤め人である。
金髪だったり悪そうだったりするのでそうは見えないが、
MCでは「子供の運動会で…」とか、
「ドラムス(女子)は6日後に挙式します!」とか
そういう話がてできて面白い。


勤め人の命削ってる本気の余興、かっこいいな!



そうこうしてるうちにトリのハイスタ…いや
ハイ&スタ登場。ケンタ(仮)は主催者でもあり
このバンドのメンバーでもある。


聞いてはいたが、頭のタオルを取ると見事な赤髪である。
赤兎馬である。


「すいません…ハイスタって何人組ですか」


「3人!」


「ボーカルいなくない…?」


「ベースがボーカルだよ!」


「え、ていうことは…」


「お前の友達がボーカルだよ、知らなかったのかよw」


「ファッ!?頭が赤いのはじゃあ…?」


「ハイスタの難波さんが赤い髪だから合わせたの!」


いちいち2人に解説してもらって把握するほどの無知ぶりスイマセン…。



それにしてもトリを飾るだけあって
彼らの格好よさと盛り上がりはすごかった。


ハイスタが好きな人たちが多いからかもしれないが、
それだけでコピーバンドがもし下手くそならこうはならないだろう。



いつも見知った友達がエンターテイナーとして
ビシッとステージでキメているのは、
格好いいなと思いつつもどこか照れくさい。
ああこの感覚久しぶりだなあ…友達のダンスや
芝居を観に行った時の感覚…。


相手が上手ければ上手いほど、その輝きが照れくさい。
なのでなぜか、ガン見じゃなくてチラ見になるのよね(笑)


「俺らコピーですいません」的なテヘヘ感が一切なく
「おら、俺らを見ろ!飛ばすからしっかりつかまっとけよ!」
といった揺るぎないメンタルの芯。


疾走する演奏と歌。
瞬く間に観客がその渦に巻き込まれ、
渦の中の温度を上げていく。


何しろ曲も知らない、
曲調にも馴染みがない私だが、
「明らかに人が人を惹き付ける瞬間」だけは
手に取るように分かった。


目の前でダイブとモッシュが繰り返され、
波うつフロアの向こう、真っ赤な髪ですっくと立つ
ケンタ(仮)を見てなぜか「燃えるけやきの木…」という言葉が心に沸く(笑)



バイヤーオガはとっくに前列へ飛び出してった。


そして気づいたらオガにぐいっと引っ張られ、私とRayも前列へ。



何か、みんながでっかい輪をつくってるんですけど…?
みんな肩組んでますけど…?



はわわ、これが名にしおう「サークルモッシュ」…!!



(氣志團万博のマキシマムザホルモンの際に覚えた言葉)



広野ゆうなのフーテンひぐらし-サークル
(air AIRJAMさんからお借りしました、たまたま我々が正面に写ってる…笑 

白いタンクトップの私、ネイビーのパーカーのオガ、隣の黒ニーキャップがRay)



でっかいその輪がぐわーとまわり始めると同時に、
真ん中の空いたところへ人が次々飛び込み、
輪が崩れたら今度はそこかしこでちいさいサークル結成。


男子がボンボン飛び交うので大変恐ろしいのだが、
こういう場に慣れたオガが私を鉄壁のガード&ガイド
危なくないようにかばってくれつつ、引っ掴んで
新しい輪のなかに入れるという(笑)


ハイスタ好きな30代の中でまわる、
氣志團ツアータンクトップ(クロムハーツのパクリ柄)の40代女!



何ていうかこれ…たぬしいーーー!ヘ(゚∀゚*)ノ




知らない人と肩組んで笑ってぐるぐる回って飛んで跳ねて、
ステージではけやきが…いや魂の友が心の叫びを
四弦と歌にのせてばんばん解き放ってる。



誰だ、サラリーマンをつまらないものの象徴みたいに描いたのは。


誰だ、「大人になるにつれ諦めることが多くなる」って嘆いたのは。


そして誰なんだ、青春が十代限定のものだと決めつけたのは。



彼らが言う。
金ピカでいよう(STAY GOLD)と。
いまみんなものすごくいい顔をしている。
そのままキープゴーイン!と。



仕事は時々つらい。
プライベートもそうは順調にはいかない。
いろんな問題は、年齢とともに増えてくる。


だからこそぬるい湯のよな「こんなもんでしょ」に浸かるべきじゃない。
時間と気合を無理やり算段して、やりたいことはやっておく。
湯温は勝手にあげちゃう。
自分が輝く場所は、勝手につくっちゃう。
そして人を、巻き込んじゃう。
途中は血ヘド吐きそうだけど、
最後に北島康介みたいに叫べればそんでいいや。


そしたらきっと、つまんないと思ってた日常が
そうじゃなかったことを知るから。



そんな声が、聞こえてくるようなイベントだった。



「身内だけの盛り上がり会だったらどうしよう」とチラリと
思っててごめんなさい。演者もそうですが、観てる人たちが
あんなに幸せそうな空間は珍しかったよ。
さすがケンタ(仮)とその一味。



その金ピカを存分に受け取った私は、
自分も輝きの倍返しをしなきゃいけない責任が
生じたなあと思ってる。


「こんなふうに勤め人が踊るダンスイベントがやりたいな」とも
思ったけど、それ以上に、ちょうど人生においていろいろと転機な
話もあったタイミングだったから、パワーをもらった以上、
はっきりと歩き出さなきゃいけないと思った。


ドラッカーの「何をもって(人に)覚えられたいか」という言葉を反芻しつつ。




広野ゆうなのフーテンひぐらし-リストバンド




Rayとオガと楽しく飲んで帰ったあと、
バンド観たもんだから無性にハロルド作石「BECK」
読みたくなって猛然と読み返した。


楽器を手にし、バンドを始めて世界に出てゆく若者たち。




広野ゆうなのフーテンひぐらし-べっく



ONE BY ONE
(1人ずつ)


ONE BY ONE
(1つずつ)


そして
ONE BY ONE
(1歩ずつ)



……


確かに届いてる


世界中の人でなくていい
こうして 誰かの心に
寄り添う歌をつなぎたい


さあ 歌って
これは 君の歌だよ


(「BECK」より)



広野ゆうなのフーテンひぐらし-ステージ
(こちらもお借りした友の勇姿)





※air AIRJAMは来年もきっと開催されるでしょう。興味ある方は乞うご期待。





広野ゆうなのフーテンひぐらし-Tシャツ表   広野ゆうなのフーテンひぐらし-Tシャツ裏

 
買ったTシャツも可愛いかったよ。
アーティストのツアーグッズでも
お目にかかれない霜降りなヴィンテージピンク、
しかもレーヨン混だから柔らかくて落ち感最高。
これ多分ふだんに着る(笑)