ベルばらはオトナのためにある。 | フーテンひぐらし

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永遠の放課後。文化祭前夜のテンションで生きたい。なかなか大人になれない。


久しぶりに「ベルばら」再読中。

年に何回か再読熱がやってきて、これが始まると
ベルばら読了後も遠藤周作や藤本ひとみのマリー・アントワネット伝記、
果てはフランス革命論までひととおり再読しないと気が済まなくなる。

そしたらその絶妙なタイミングで、湯山玲子さんの本が出た。

ベルばら手帖


ベルばら手帖 ~マンガの金字塔をオトナ読み~

これは「GINZA」に連載されていたページを書籍化したもので、
男性登場人物をオトナの女目線で分析したり、
当時のフランス文化について掘り下げたり、
実際にヴェルサイユに行って気づいたさまざまなことをレポートしたり…。

池田理代子先生はじめ、よしながふみ、島田雅彦など
いろんな人々とのマニアックな対談も見もの。

とにかく充実の大人向けベルばらサブテクストなのだ。


ベルばらに関しては1度このまんがについて語りつくすだけの飲み会を
やりたい(しかも1回1巻ずつ!)と思ってるくらい、
今でも(今だからこそ)話が尽きない。
だから他の誰でもなく湯山さんがこれを著してくれたのが嬉しい。

だって表紙にこの場面をセレクトしたのとかもう…分かってらっしゃる!



常々言ってるけど、このおめめキラキラ、リボンフリフリ、
ばらの飛び交う絵柄だけで「あー…少女漫画ね(失笑)」と目をそらす男性が多いが、
それに食わず嫌うことなくぜひ1度騙されたと思って読んで欲しいのだよ。

びっくりするほどの骨太かつ正確なフランス革命史が展開されているから。
そのドラマティカルかつダイナミックなさまは、
「男よ、これが少女漫画だ」とマーベルばりにえばりたいくらいで。


それにしてもこのマンガを血肉として土台として生きてきた女子は
せっかくなんだからオスカルの独立独歩なさまを今こそ見習うべきだよね。
男によって自分が歩みを変えるのではなく、自分がずんずん歩いた後を男が追う、
そんな部分をな。



湯山 玲子
マガジンハウス
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