江戸の四派 | フーテンひぐらし

フーテンひぐらし

永遠の放課後。文化祭前夜のテンションで生きたい。なかなか大人になれない。


■2月17日(日) 江戸の四派・花形落語会@よみうりホール

1月のデリハルに続いて、母と落語。

都内では寄席に行かなくても頻繁に人気の噺家さんの落語会が
開催されているのだが、そのほとんどが夜である。
都内で終演21時半というのは、埼玉から出てくる母にはキツい。
というわけで、人気者が出演してかつ昼間に開催というレアなこの会へ。

四派とは「落語協会」「落語芸術協会」「円楽一門」「立川流」です。

ま、わたしは志らくさん、兼好さんを聴きたかっただけなんですけどね

四派


チケットが2階席だったので期待してなかったら、
よみうりホールの2階席はゆるやかにスロープを描きながら
前のほうで1階と地続きになってるという変わったつくり。
というわけで我々は実質かなり前のほうで観ることができた。

★前座 「真田小僧」柳家さん坊
おっかさんが家に男をあげた、と言い出し、話の続きをせがむ父に
代金を要求するちゃっかりした息子の噺。さん坊さんは、なかなかうまい。

★「高砂や」 三遊亭兼好
今年初めての兼好さんだ。
この顔ぶれだからもしやと思ったらやっぱり、
兼好さん、かなり若い順番だった。ちょっとさみしい。
結婚式の司会をかなりやったという話から、結婚式にまつわるネタでひと笑い。
噺のほうは、仲人をやることになった男が「高砂や」を謡うのを練習する
短めのお噺でした。面白かったけど、もうちょい長いの聴きたかった。

★「源平盛衰記」 桂文治
初めて聴いた噺家さん。顔はコワモテ、声はでかくてダミ声。
寄席で鳴らしているひとだけあって、お年寄りの好きそうなダジャレ連発。
まくらから噺に入る形ではなくて、噺をしながら脱線して世間話になる、
という形なので、本題は一向に進まない(笑)どちらかというと漫談みたい。
会場爆笑だけど、私はダジャレとその形式がちょっと好みではなかった。

~仲入り~

★「短命」 立川志らく
今回も談志の話から。
それにしてもさすが志らくさん、談志の真似が上手すぎて母が驚いてた。
短命は、別嬪のお嬢様のもとに来た婿たちが次々に早死にするのはなぜ?という噺。
うまいなー。やっぱりうまいなー。何がどうって言えないけど、
志らく落語は志の輔、談春みたいに構えなくてよくて、
重たくなく、でもぐいぐい引き込まれる。立川流ではいちばん好き。

★「井戸の茶碗」 柳家さん喬
柳家喬太郎の師匠、という知識しかなかったさん喬さん。
爆笑派の中堅3人が会場を大いに笑わせた後のトリなので、
さて大御所がどうやるんだろう…?と思っていたら
まくらの上品な語り口からは想像できないストーリーテラーぶり。
登場人物が多く、ほとんどが侍なのだけど、さん喬さんは
すべて見事に演じ分けていた。いまは浪々の身の中年侍、
若く闊達な侍、細川家のお殿さま、そして屑屋。みんな違う。
何かキテレツなギャグがあるわけではないのに、登場人物の表情や間が
生き生きしていてものすごく笑える。
善人しか出てこないこの噺、笑いと「いいはなしだったなー」という
しみじみ感を両方たっぷり出す力、さすが、である。


母はかなり楽しかったようで、
なかでも志らくがお気に召したようで、
来月また渋谷の落語会に行くことになりました(笑)