落語と仁義なき戦いの話は
わたしのアップする記事の中で
皆さんの興味のない2トップなわけですが
週に一度は通ってますからまた落語の備忘録ですんませんのぅ
■11月8日(木)
あったか落語ぬくぬく その参@成城ホール
またも三遊亭兼好さんの出るホール落語に出かけました。
成城学園前ってあれですね、新宿から行くと意外と遠いのですね。
街のイメージから何となく渋谷から自由が丘くらいの距離だろうと
勘違いしてたらとんでもなかった。
でも駅はきれい、駅ビルは大充実、
駅出たらこぢんまりしてすごく上品で、さすがお屋敷街。
女性と子供、家族連れが安心して暮らせそうな雰囲気。
成城ホールもきれいな建物でした。
目の前にやたらカワイイ雑貨屋さん↓があって、
時間つぶしに入ったらまたミィのグッズを買ってしまうという愚挙
席がC列ってこれまたすごいいい席で、しかも場所的に
噺家さんが落語の最中、上下(かみしも)を切る(登場人物の演じ分けのために
左右に首を振り分けてしゃべる)、その下手側の目線の位置にいるため、
ものすごく目が合いがちという。
落語は、やっぱりもすこし遠くで見るほうが気楽ですね。
★柳亭市助 「たらちね」
独り者の八っつぁんが大家に呼ばれ、縁談を持ちかけられる。
相手のプロフィールがあまりによすぎて「話がうますぎる」と思ったら
案の定ワケありの女。でもそのワケというのが、「あまりに言葉づかいが丁寧すぎる」というもので。
そんなこた大したことねえと嫁にもらったがらっぱちの八っつぁんと、
あまりに古風で丁寧すぎる言葉づかいをする嫁の会話のすれ違いぶり。
これも前座さんがよくやる噺だそうです。
市助さん、なかなかに上手いなあと思いました。
前座さん独特の「演じている」わざとらしさがあまりなく、しっかり笑わせる。
★瀧川鯉昇 「千早振る」
八っつぁんが娘に百人一首の「ちはやふる神代もきかず竜田川
からくれなゐに水くくるとは」の意味をきかれ、あわててご隠居のところへ
意味を聞きに来る。物知りで知られるご隠居、自分も知らないとは言えずに
ものすごく勝手な解釈を八っつぁんに教え始める…。
鯉昇さん、高座にあがってお辞儀をして、フゥと息をついて無言で
客席を見渡す。ただそれだけで何ともおかしい風情で、客席から笑いが
起こるのだからすごいというかズルいというか。
来年還暦とは思えない、もう70はとうに越してるでしょ?というような
老け顔でさらに一度見たら忘れられない独特の風貌。
本人も「老け顔の人は年をとったらかえって若く見られるからと
慰めてくれる人が昔いましたが…あれ、ウソですよ」とネタにしてる。
ひょうひょうと話してるのに枕の時点でなぜか猛烈におかしい。
広瀬氏の著書「この落語家を聴け!」では鯉昇さんの「千早振る」は
独特で最高におかしいと書かれていたけど実際そうでした。
「チグリス川、ユーフラテス川、インダス川、竜田川…といえば?」
「…川のなまえ?」
「違うよ。外国人力士の名前でしょ」
とかメチャクチャ(笑)
「ちはやふる~でまっつぐあっちへ行って、神代もきかず~でこうキュッと曲がって…」
となぜか歌を方向で説明しようとするのも爆笑。
とにかく最初から最後まで、最高におかしいひとでした。
「この人の他のも聴いてみたい!」とかなりお気に入りになったよ。
★柳亭市馬 「松曳き」
とある大名屋敷。そそっかしいお殿さまと、それに輪をかけて
そそっかしい三太夫という家来。ある日殿さまが「庭の築山の脇にある
赤松の大木が月見の邪魔になるので泉水の脇にひきたいが」と相談する…。
「いつもニコニコ上機嫌で大人の風格がある」と評される市馬さん。
想像通りの、大柄でにこやかでとても品のいい噺家さんでした。
CDを売ってるくらい、落語界いちの美声の持ち主だそうで、確かによく通る、心地いい声。
その声と品のよさで、武士の役がハマります。
で、それを続けていていきなり職人の声色になると、
そのギャップがまたいなせで色っぽい。
独特のギャグでギャハハと笑わせる大爆笑タイプじゃないけど、
正統派の落語を楽しく聴かせてくれる実力者という感じでした。
~仲入り~
★三遊亭兼好 「大山詣り」
枕では市馬さんの新曲のタイトルをうまく話に盛り込んで
「どうですこの気配り♪」とおどけてみせて大爆笑。
「山はいいよ~。先日夫婦で登ったら雨風と寒さにやられてやっとのことで下山した」
「…それのどこがいいんです?」
「まだ女房が帰ってきてないんだ」
というこないだ聴いた小話もはさみつつ鉄板の笑い。
昔「山登り」といえばレジャーというより神信心のために登ったそうで、
とある町内の男たちが大山に登り、帰りの宿屋に落ち着く。
酒の入った熊さんが酔って暴れるわ喧嘩ふっかけるわで、腹にすえかねた
仲間は泥酔で寝ちゃった熊さんの髪の毛をそり落とすが…。
この噺、比較ストーリーか長くて、笑わせる要素があまりない。
だからきっと、下手なひとがやるとあまり面白くないだろうなーと思いました。
でも兼好さんは絶妙の顔芸、そしてコミカルなキャラの演じ分けで笑わせる。
そしてやっぱり女性を演らせると色っぽくておかしみがあってうまいなあ。
いつもの兼好さんより少しだけ食い足りないなと思ったら、
この噺にはボケキャラが出てこない(笑)ボケキャラ噺、所望!
キャリアとしては兼好さんがいちばん若いけど今回トリだったなー。
「あったか落語ぬくぬく」はいつもこの3人でやっているから
もしかして持ち回りなのかな?
終演後、ロビーでは市馬さん自らがご自身のCDを販売していた(笑)
今回のめっけもんは瀧川鯉昇さん!
(落語ツウの方からすると今さら何をか言わんやでしょうが…)
満足。