らくこのらくご。 | フーテンひぐらし

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永遠の放課後。文化祭前夜のテンションで生きたい。なかなか大人になれない。



日曜日、よさこいの前にひとりで出かけていったのが赤坂



広野ゆうなのフーテンひぐらし-灼熱


青山一丁目から灼熱の青山通りをてくてく歩き赤坂区民センターに



広野ゆうなのフーテンひぐらし-かんばん


女性限定の落語会「らくこのらくご」を観に行きました。
ええ、ひとりです。


広野ゆうなのフーテンひぐらし-らくこ


このイベントは第二回めの開催らしく、
まあ別に女性だけの方がいいということも全くないのですが
まだ落語は1回しか行ったことがないド素人のため、これなら敷居が低そうだなと。
しかもテーマが「女ってコワイのおはなし」、いいじゃないですか。



三名の噺家さんが一席ずつやってくれるらしく、
平 安寿子の「こっちへお入り」 を読んで気になった女性の落語家さんも出るし、
去年の初落語 でまくらの面白さと達者さが印象に残っている三遊亭兼好さんも
出るというのが決め手になりました。



広野ゆうなのフーテンひぐらし-演者


会場に入ると、浴衣姿の女性がいっぱい!


この前の時間に着付けセミナーもあわせて開催していたみたいで、
そこで着付けたひとたちが続々と着席。
でも、青山通りでも先ゆく人たちが浴衣ばかりだったので、
「夏で落語といえば浴衣よね♪」という女子がたくさんいたのですね。


いま花火大会のひとつもあれば、街には浴衣女子が溢れているわけですが
この日初めて「ああ…浴衣の女性ってすごくキレイだな!」と思ったです。


なぜならば、花火大会の日によく見かける「ギャル浴衣」が皆無だったから。


ギャルの浴衣は髪は巻き巻き盛り盛り花盛り!
柄も派手で、着方も花魁みたいな…(いや花魁に失礼かも)


でもこの会にいるのは30~40代の落ち着いた女性。
(まあ落語を聴きにいこうってくらいの人たちですからね)

みんな長い髪はキュッとまとめ、清楚かつシックな柄を
品よく着こなし、歩幅狭く楚々として歩いているのです。


そうすると本当に、抑えた中にかえって色気が匂い立つよう!


やはり、きちんと着さえすれば日本人女性の魅力を
最も生かす装束なのだなあ…としみじみしました。




さて開演


スクリーンで可愛いアニメーションの後に紹介される
お三方のインタビューの後は、実際に舞台に出てごあいさつ。


初回も仕切り役となった、女性落語家の春風亭ぴっかりさん
(前座修業があけたばかりの、小朝師匠のお弟子さんです)
先導して会が始まりました。




■春風亭ぴっかり(二ツ目) 「お菊の皿」


くるくるパーマヘアがとても可愛らしい、
いまどきの女子なぴっかりさん。
ネタは、名前だけ聞くと怪談のようですがそうではなく、
お菊というイイ女の幽霊が出ると評判になった皿屋敷の井戸端に
お菊見たさのお客が詰めかけ…という噺。


落語は登場人物に男が多いため、どうしても女性がそれを演じ分けるのは
難しいということでしたが、確かに初めてだと違和感あり(笑)
熱演なのだけど、どうしても素が可愛いので可愛らしくなってしまうのね。
うーむ、多少の枯れ感(例*椿鬼奴)やおかみさん感(例*森三中)があった方がハマるのかなあ。
まだまだこれからが楽しみな元気な若手!という感じでした。




■三遊亭兼好(真打) 「お見立て」


さて兼好さん。
前回同様、最初からお客さんをぐっと引きつけるなあ~。
二ツ目のぴっかりさんがまだまだ「必死にお客さんを盛り上げよう
としている」のに対し、落ち着いて熟練された話芸で、
一瞬で「ぐっ」と引きつけて「どっ」と沸かせましたね。
ふたりの娘(上は高校生)がいる話なんかもすごく面白かった。


ネタの「お見立て」は、喜瀬川という花魁が、生理的にキライな
お客をいかにして断るか…という噺。
客と妓の仲介をする喜助に「喜瀬川は死にました」と言わせ、
これで諦めて帰ってくれるだろうと思ったら…。


これがね、むちゃくちゃ面白かった。
ちょっとお高い喜瀬川、お調子もので愛想のいい喜助、
そして方言まるだしの杢兵衛お大尽と、3人の演じ分けが見事で
首を左右に振るだけなのにもうそれぞれの姿かたちがあざやかに見えてくる。
杢兵衛がご無沙汰だった言い訳に「オリンピックも観なきゃいけねえしで」などと入れるのもうまい。


とにかく場内、ずっと爆笑でした。
「ちょっと気になる人」から、もういっぺんにファンになりましたよ兼好さん。
独特のキワモノ的個性とか、ナナメな感じとかがなく、
もう明朗快活、端正で誰にでも分かりやすい面白さ、というのも
まだ初心者の私にはたまらないのです。



■仲入り(休憩15分)



■3人に対する質問コーナー


あらかじめ開演前に募集していた質問に、3人が答える。
ここでは三遊亭白鳥さんがフリートークのうまさを
見せつけました。仕切りや盛り上げがうまい!


ぴっかりちゃんは修業があけても毎日、師匠の家に通って
料理洗濯などしているそうで(京都まで和菓子買いに行かされたことも!)


 白鳥 「師匠いま独身だもんねえ…そうだ、もう次の嫁になっちゃいなよ」


 ぴっかり 「ええええーーー!?」


 兼好 「やだなー!俺たち“姐さん”とか呼ばなきゃいけないんだよ!」




■三遊亭白鳥(真打) 「珍景累ヶ真打」


白鳥さんは古典ではなく、創作落語をする人なのだそうです。
夏にはよく演る人の多い「真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)」
という有名な怪談噺を「聴き終わるとズーンと重くなるのがイヤで
どうにか明るく楽しくできないかと考えた」
のがこのオリジナルの噺。


小唄の師匠で40がらみのイイ女・豊志賀のところに稽古にきた久三。
長い間、一線を引いてきた二人が思わず結ばれてしまい、
豊志賀は久三に首ったけになるが久三は若い娘の方に…という噺。


これね、ネットで色々調べると「登場人物に現存する噺家さんたちの
実名をたくさん入れ、その業界ネタが面白くて沸かせる」
噺らしいのです。


でも今回の回は、落語自体はじめてという女子が半分くらい。
元の「真景累ヶ淵」も知らなきゃ落語界の内幕も知らない(私もです)。
だから白鳥さんも、あまり実名をいれずに演ってました。


なので、面白さが分からないうちに噺がどんどん進み、
ところどころギャハギャハ笑いはしましたが、聴いてるうちに
「長いな…」と思ってしまい(笑)
そうです。マニアックな方向の創作落語で笑えるほど成熟してないのですよ。


さらにこの噺が選択ミスだったなと思ったところは、
「熟女が若い男に入れあげ、その男が若い娘に走ったために嫉妬の鬼となる熟女」という本筋。


豊志賀がひとつの布団でどうにかして久三を取り込もうとするところや
久三が後半「あんなオバさん冗談じゃない!何とも思ってない!」
「やっぱり若い娘はいいなあ」
と連呼するところなどは、女性しかいない会
(しかもアラフォーが多そうな…)だとそれを笑えなくて、
むしろ若干引いちゃうんですよね(笑)



話の骨子としてはさらに「どんなに芸歴が長く頑張っていても、
女性だと真打になれない。それゆえの女性芸人たちの恨みと悲しみ」

伝えたいんだろうと思うのですが、だからこそ女性の会にこの噺なのでしょうが、
「うーんあの噺は…リアルすぎて何かねえ…」と帰り道言い合ってる
女性たちもいましたが、まさにそう。


身にしみるんですよ。近すぎて笑えないんです。


なので私としてはあまり好みじゃない噺だったのですが、
とても面白く斬新な噺家さんだと評判の方なので、
もっと別の噺を聴いてから好き嫌いを判断(?)したいなと思いました(笑)



ホールを出たら素敵な黄昏どき



広野ゆうなのフーテンひぐらし-黄昏


女性の会らしく、入場時と退場時にいろいろなおみやげをくれました!



広野ゆうなのフーテンひぐらし-おみやげ


コスメのサンプルやら、グミやら、
女性の好きそうなお酒3種も!


せっかく頂いておいて文句言うのもなんですが、
(びん2本、缶1本)は女性へのお土産としては重たすぎるよ…!(笑)
浴衣姿のひとたちなんか、バッグは小さいし、余計にね。



でも「行ってみたいけどどこに行けばいいか…」とか
「ひとりで行くのは敷居が高くて」とかの落語に興味ある女子にとって
この会はスタートとしてとてもいいイベントだと思いました!




※この後わたしは、兼好さんの高座があるイベントに
ふたつも申込んじゃいましたよ…(笑)またひとりで!