ナガザイル物語【第4話】 | フーテンひぐらし

フーテンひぐらし

永遠の放課後。文化祭前夜のテンションで生きたい。なかなか大人になれない。

■10月17日(水)


今回、ボーカルを取ってくれるⅠくん(川畑似)が、
「どうせやるなら本気で」と、
知り合いの「歌もつくるし歌も歌う」方を、
相方としてこの企画に引っ張り込むことにしてくれた。


やっぱりEXILEならどちらも上手なツインボーカルでないとね♪



曲の編集もお願いしていたので、この日、


「夜に広野さんに電話を入れるので、
 そのときもろもろ相談させてください」
と言われる。


私はシバタと松ちゃんと中目黒飲み予定だったので、
飲みの最中に電話がかかってきても編集の話が出来るようにと、
バッグには「EXILE BEST」の歌詞カードを入れていた。



場所は高架沿いのあたしのいきつけ飲み屋。



先にシバタと松ちゃんが飲んでいたので、
あたしはひとり遅れて飲み屋通りを歩きながらふと思う。



あ、そういえばEXILEの事務所、この先だったなと。




以前のブログに書いたことがあるが、
あたしは社長ことHIROくんとなぜか何度も遭遇している。


渋谷のジムで、マッサージ屋で、
路上で、とにかくばったりばったり会うので、
ひょっとして運命のひとラブラブじゃないかと思ってた(笑)



さらに中目黒のいきつけ弁当屋「やまも」には
EXILEのサインがあり、一度HIROくんを真ん中に
横一列でコワモテ集団がその近くを歩いてたことがあり、
あたしはどうしてEXILEとここまで遭遇するんだろうとすごく不思議だった。



そしたら「オカザイル」にて、EXILEの事務所「LDH」が
中目黒にある
ということを知り、ああー、あれあのビルだ!
ああー、だからよく会うのかあああ!
と腑に落ちたとこだったの。



ZOOも遠くなりにけりの今までは
恋焦がれたHIROくんとはいえ、
何となーく昔のオトコだったが、


自分たちのやる出し物の「本物」であり、
オカザイルで何度も彼らのスゴさを観た後は、
思い入れが全然違う。




あたしが歩いてるこの飲み屋街の通りは、
EXILEに続いてるのかあー♪なんてにやにやしながら歩いてたら、


バンダナであきらかに目立つ兄ちゃんが、
おりたたみMTBですうーっと追い越して行った。



ん??今のひとすんげーEXILEぽい。



あいにくハッキリ顔をとらえられなかったが、
EXILEメンバーか、もしくはLDH所属メンバーか、
何だかそんなニオイのする人だった。



おおー、何かいい予感だねえ音譜





そう思いながら飲み屋をガラガラと開けた。



いちばん奥のテーブルにシバタと松ちゃんがいる。







あれ?







その隣







……










社長



社長




そこには数日前にオカザイルで何度も観た、
黒いロン毛に黒いニットキャプ、
笑うと可愛いけど笑わないとコワいHIRO本人がいた 叫び







最高にヤバイっす グッド!





何このタイミング






そのとき飲み屋の店長さんがデカい声で
「おおー、姉御じゃないスかー!」


とにかく狭い店なので、その声で
HIROの席、一斉にこっちを見る




お願い、姉御なんてこの瞬間だけは呼ばないでええええええ




そして何も知らないシバタと松ちゃんが
「おおー、遅いぞー」と迎えてくれた席は、
本当に本当にHIRO卓の隣。近すぎる。


見ようと思うと確実に目の合う距離である。




シバタと松ちゃんは今回のメンバーズではない上に、
そもそも隣がEXILEのHIROだとはまるで気づいてない。


ばくばくする心臓。
あまりのタイミングに躍りまくるキモチ。




でも誰とも共有できなーーーーい




HIROは事務所関係者の男性2人と話しており、
ときおりMAKIDAIがさあ」「ATSUSHIがさあ」という
名前が漏れ聞こえてくる。




うーわー




ソロでとっぱなだったMAKIDAIですよね
猪木のモノマネしてましたよね
ラバーズアゲイン素敵だったATSUSHIですよね
松屋で岡村と食い物奪い合ってましたよね
とか、
そういうツッコミが頭をぐるぐる



話しているのはほとんど関係者の男性2人で、
社長はとても口数が少ない。
仕事終わってパアッと飲んでるっつうより、
仕事の合間に晩飯がてら来て、
またサッと事務所帰る。
まさにそういう雰囲気だ。




シバタと松ちゃんのするプロ野球の話に
乗りながらも、気持ち半分、耳半分は
とんと別の方にいるオレ。




そこでハッと思う。

あたし、歌詞カード持ってるじゃん…と。

これ、サインしてもらえるんじゃね?



そしてついでに


「こないだオカザイル観ました。すごかったス。
 私たちあれ観て今度、同じのやるんです!!


とか言って握手してパワーでももらっておけるんじゃね?




「松ちゃん…ちょっとさあ、ペン貸してよ」


「いいよ。何すんの?」


「い、いや…ちょっと後で使うんだよ…」



その後はさらにシバタたちとの会話うわの空。



せめて今回のメンバーズにでもと、店を出て
何人かに電話をかけるが、つながらなかったり、
仕事中だったりでいまいち共有できない。




そして迷いも出始める。


完全プライベートで、
こんな狭い空間でずっと隣にいた女が
いきなり歌詞カード出して
テンション高くサインとか求めたら、
軽くキモくね…?
偶然に見えないよなー
追っかけぽい?
つか迷惑だろうな…


EXILEよりオカザイル好きだしな。
失礼かもなあーー。




そうこうしてるうちに隣が
「お勘定~」と。



よし、社長が最後に席を立ったら、
ささっと行って静かに話しかけよう。
先頭ならあきらめよう。





そしたら社長、






「俺、便所行ってくるわ」






わー予想GUY




事務所の人は勘定済ませた後
立ち上がってすいすい先に出てしまい、
私はだからといってトイレの前で出待ちするのも
さらに何だかなあなので、




結局何もできないまま、
我らの目標は店を出て行ったのであった。




ショッキング ガクリ




好きな人には話しかけられない
へたれな中学時代のあたしを思い出したわ






HIROが出て行ったあと、


「いいいい今のEXILEのひとだって知ってた?」


って聞いたら、シバタも松ちゃんも、


「そーなの?つか顔よく知らないしなー」


とテンションひく。




くそうーせめてオカザイルを観ている
メンバーズなら盛り上がったのになあ。





そしてふと見ると、
あたしの小さなバッグが横に倒れている。

あ、さっき事務所の人が大きな荷物を
隣から引き上げて行ったからなあー。

そう思ってみてみたら、




歌詞カードがでろーんと出てた。




これ気づかれてたら、
話しかけてないだけに余計キモい女だよ!!




まあ、社長に会えたことでナガザイルの成功を
神様に約束してもらったみたいなキモチになって
ウキウキしてメンバーに報告したら、




お前なんで社長にオファーしてこねえんだよ





と叱責されました…。